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17- D- 0215 201 7 年 6 月 2 3 日
民鉄大手各社の 17/ 3 期決算の
注目点
民鉄大手各社※ の17/ 3 期決算および 18/ 3 期業績予想を踏まえ、株式会社日本格付研究所(J C R)の現況 に関する認識と格付上の注目点を整理した。
※ 東武鉄道、相鉄ホールディングス、東京急行電鉄、京浜急行電鉄、小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、 西武ホールディングス(以上、東日本エリア)、西日本鉄道、近鉄グループホールディングス、阪急 阪神ホールディングス、南海電気鉄道、京阪ホールディングス、名古屋鉄道(以上、西日本エリア)
1. 業界動向
J C R 格付先の民鉄大手 14 社合計の 17/ 3 期鉄道輸送人員数は 75 億 8, 098 万人(前期比 1. 0%増)となった。 16/ 3 期の増加率(同2.6%増)と比較すると鈍化しているが、16/ 3 期がうるう年であったことやシルバーウ イークの曜日配列がよかったことなどを考慮すれば堅調に推移したものと考えられる。なお、17/ 3 期期初に 鉄道輸送人員見通しを開示していた 11 社ベースでみると、期初予想同 1. 1%増に対して 17/ 3 期実績は同 0. 9%増であり、概ね計画通りの推移となった様子がうかがえる。地域別では東日本エリアの民鉄合計では定 期同 1. 3%増、定期外同 0. 6%増、合計同 1. 1%増、西日本エリアの民鉄合計では定期同 1. 0%増、定期外同 0. 4%増、合計同 0. 8%増となった。定期については、総じて雇用環境が良好である影響を受けている。定期 外については増加率の鈍化が大きいものの、観光旅客輸送の増加等を背景に引き続き高水準で推移している。
18/ 3 期の鉄道輸送人員見通しは、予想を開示している 13 社ベースで、定期同 0. 9%増、定期外同 0. 2%増、 合計同0. 6%増である。各社とも増加率の鈍化を見込んでいるが、特に西日本エリアでは定期外が同 0.2%減 との予想であり、インバウンドの減少などを見込んだ計画となっている。
2. 決算動向
17/ 3期民鉄大手 14社合計の営業収入は 7 兆 3, 733億円(前期比 0. 2%増)、営業利益は 6, 916 億円(同 2. 1%増)となった。セグメント別にみると、運輸事業営業利益は 3, 155 億円(同 0. 7%増)、関連事業(運輸 事業以外セグメント)営業利益は 3, 818 億円(同 4. 3%増)である(※ セグメント別利益は内部取引等考慮 前)。期初予想は運輸業営業利益が同 6. 1%減、関連事業営業利益が同 8. 0%減だったが、運輸業における動 力費の減少、および関連事業におけるホテル事業や不動産事業の好調などが増益となった要因である。
地域別にみると、東日本エリアの民鉄合計営業利益は3, 950 億円(同6.6%増)、うち運輸事業1, 873 億円 (同1. 0%増)、関連事業2, 101 億円(同13. 3%増)となった。関連事業の営業増益は京浜急行電鉄が前期に 多額の分譲評価損を計上した反動なども影響しているが、総じて堅調に推移した。一方、西日本エリアの民 鉄合計営業利益は 2, 966 億円(同 3. 4%減)、うち運輸事業 1, 282 億円(同 0. 3%増)、関連事業 1, 717 億円 (同 4. 9%減)となった。関連事業については、阪急阪神ホールディングスにおいて前期に施設用地の売却 があった反動および西日本鉄道における熊本地震の影響などがみられたが、それ以外では堅調な業績推移と なった。
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き続きプラスで推移しており、手元流動性の取崩しと合わせて、有利子負債残高は 16/ 3 期末 8 兆 4, 051 億円 から 17/ 3 期末 8 兆 2, 869 億円と同 1. 4%減少した(一部 J C R 推定)。有利子負債/ E BIT DA倍率は 6. 7 倍(前 期 6.9 倍)、DE R は 1. 7 倍(前期 1.9 倍)といずれも前期から改善している。
3. 決算に
お
け
る
格付上の
注目点
14 社合計の 18/ 3 期営業収益は 7 兆 5, 291 億円(前期比 2. 1%増)、営業利益は 6, 648 億円(同 3. 9%減)の 予想である。セグメント別では運輸事業営業利益 3, 029 億円(同 4. 0%減)、関連事業営業利益 3, 654 億円 (同 4. 3%減)となっている。運輸業では、鉄道輸送人員の増加率が鈍化する見通しであることに加えて、 動力費の増加を計画に織り込んでいる会社が多いことが背景である。なお、地域別にみると、東日本エリア の民鉄合計の運輸業営業利益は同1. 2%減なのに対して、西日本エリアの民鉄合計では同 8. 1%減となってい る。コスト増と合わせてインバウンドの伸び鈍化などを織り込んでいる。ただ、17 年 1∼4 月累計の訪日外 国人数は前年同期間比 16. 4%増と引き続き増加傾向にあり、トレンドに大きな変化は見られない。また、足 元の有効求人倍率も昨年以上に高水準であることなどを勘案すれば、現状では民鉄各社の事業環境が大きく 悪化する可能性は低いと考えられる。
財務面では前期に続いて積極的な設備投資を計画している会社が多い。18/ 3 期の設備投資の見通しを開 示している 13 社ベースでみると、17/ 3 期は同 11. 9%増加したが、18/ 3 期見通しでは同 26. 1%増とさらに設 備投資の増加が計画されている。各社が公表する中期経営計画では、維持更新投資に加えて成長投資枠を設 定するなど当初から積極的な投資姿勢が打ち出されていたが、18/ 3 期では当初計画以上の設備投資を見込む 会社が見られる。ただ、キャッシュフロー創出力が中計の想定を上回っている会社が多いことから、投資の 増加は吸収できる可能性が高い。18/ 3 期末の有利子負債残高見通しを公表している 10 社ベースでみると同 1. 3%増となっており、17/ 3 期末と概ね同水準を維持する計画となっている。
各社は比較的良好な収益環境下で積極的な設備投資姿勢を維持している。足元では不動産賃貸事業の強化 とともに宿泊特化型ホテルを中心とするホテル事業の拡充を進める会社が散見される。各社とも保有形態に こだわらず事業リスクを軽減しつつホテル事業の拡大を進める方針である。J C R ではこれらの取り組みによ って将来的に安定性が高いキャッシュフローの獲得が進むものとみているが、不動産価格の上昇などにより 今後の物件取得が進みにくくなる状況も想定される。このため、投資を積極化している会社については、引 き続きその進捗および中計期間中の財務内容を確認していくとともに、大規模プロジェクトを進めている会 社については、テナントリーシングを含む計画の進捗と財務内容への影響に注目していく方針である。
17/ 3期決算発表で特徴的な点は、今後10年程度を見越した長期ビジョンを公表した会社がいくつか見ら れることである。いずれも今後の事業環境の変化を見込み、引き続き不動産賃貸事業やホテル事業などの強 化を進めつつ、新規事業分野の収益貢献を目指している。新規事業分野については M&A も想定されている 模様だが、現状で具体的に見えているものはない。このため、今後の計画の進捗に伴って投資規模や事業内 容、見込まれるキャッシュフローへの寄与などを見極めていくことが必要と考えられる。
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(図表)民鉄大手 14 社の連結業績の推移 (単位:億円、倍、%)
14 社合計 東日本エリア計 西日本エリア計
前期比 前期比 前期比
営業収益 15/ 3 期 7 2 ,7 6 4 0 . 1 3 8 ,7 7 9 0 . 2 3 3 ,9 8 5 0 . 1
16/ 3 期 7 3 ,5 9 0 1 . 1 3 9 ,4 2 7 1 . 7 3 4 ,5 5 6 1 . 7
17/ 3 期 7 3 ,7 3 3 0 . 2 3 9 ,4 9 3 0 . 2 3 4 ,2 4 0 - 0 . 9
18/ 3E 7 5 ,2 9 1 2 . 1 4 0 ,5 4 9 2 . 7 3 4 ,7 4 2 1 . 5
営業利益 15/ 3 期 5 ,9 9 1 4 . 8 3 ,3 4 6 4 . 6 2 ,6 4 5 5 . 0
16/ 3 期 6 ,7 7 7 1 3 . 1 3 ,7 0 6 1 0 . 8 3 ,0 7 1 1 6 . 1
17/ 3 期 6 ,9 1 6 2 . 1 3 ,9 5 0 6 . 6 2 ,9 6 6 - 3 . 4
18/ 3E 6 ,6 4 8 - 3 . 9 3 ,8 8 3 - 1 . 7 2 ,7 6 2 - 6 . 9
経常利益 15/ 3 期 5 ,5 2 5 6 . 0 3 ,1 1 3 3 . 4 2 ,4 1 1 9 . 4
16/ 3 期 6 ,3 5 7 1 5 . 1 3 ,4 7 6 1 1 . 7 2 ,8 8 1 1 9 . 5
17/ 3 期 6 ,6 8 0 5 . 1 3 ,8 7 9 1 1 . 6 2 ,8 0 0 - 2 . 8
18/ 3E 6 ,3 3 7 - 5 . 1 3 ,7 5 9 - 3 . 1 2 ,5 7 8 - 7 . 9
当期利益 15/ 3 期 3 ,4 7 2 1 0 . 4 2 ,0 1 6 4 . 3 1 ,4 5 5 2 0 . 0
16/ 3 期 4 ,0 2 0 1 5 . 8 2 ,2 8 3 1 3 . 2 1 ,7 3 6 1 9 . 3
17/ 3 期 4 ,4 5 7 1 0 . 9 2 ,7 3 5 1 9 . 8 1 ,7 2 2 - 0 . 8
18/ 3E 4 ,3 1 1 - 3 . 3 2 ,6 8 5 - 1 . 8 1 ,6 2 6 - 5 . 6
14 社合計 東日本エリア計 西日本エリア計
前期比 前期比 前期比
EBI TDA 15/ 3 期 1 1 ,3 6 7 2 . 5 6 ,5 7 2 1 . 6 4 ,7 9 5 3 . 7
16/ 3 期 1 2 ,2 4 0 7 . 7 6 ,9 7 9 6 . 2 5 ,2 6 1 9 . 7
17/ 3 期 1 2 ,4 1 7 1 . 4 7 ,3 0 0 4 . 6 5 ,1 1 6 - 2 . 8
有利子負債 15/ 3 期 8 4 ,7 0 8 - 2 . 5 4 8 ,4 0 4 - 2 . 5 3 6 ,3 0 3 - 2 . 5
16/ 3 期 8 4 ,0 5 1 - 0 . 8 4 8 ,4 8 1 0 . 1 3 5 ,5 6 9 - 2 . 0
17/ 3 期 8 2 ,8 6 9 - 1 . 4 4 8 ,0 0 3 - 0 . 9 3 4 ,8 4 6 - 2 . 0
EBI TDA マージン 15/ 3 期 1 5 . 6 1 6 . 9 1 4 . 1
16/ 3 期 1 6 . 5 1 7 . 7 1 5 . 2
17/ 3 期 1 6 . 8 1 8 . 5 1 4 . 9
DER 15/ 3 期 2 . 0 1 . 9 2 . 0
16/ 3 期 1 . 9 1 . 9 1 . 9
17/ 3 期 1 . 7 1 . 7 1 . 7
有利子負債 15/ 3 期 7 . 5 7 . 4 7 . 6
/ EBI TDA 倍率 16/ 3 期 6 . 9 6 . 9 6 . 8
17/ 3 期 6 . 7 6 . 6 6 . 8
(出所:各社決算資料より J C R 作成)
(注)有利子負債、DE R、有利子負債/ E BIT DA 倍率の 17/ 3 期数値は一部 J C R 推定
【参考】
発行体:東武鉄道株式会社
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:相鉄ホールディングス株式会社
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:東京急行電鉄株式会社
長期発行体格付:A A - 見通し:安定的
発行体:京浜急行電鉄株式会社
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発行体:小田急電鉄株式会社
長期発行体格付:A A - 見通し:安定的
発行体:京王電鉄株式会社
長期発行体格付:A A 見通し:安定的
発行体:京成電鉄株式会社
長期発行体格付:A 見通し:ポジティブ
発行体:株式会社西武ホールディングス
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:西日本鉄道株式会社
長期発行体格付:A + 見通し:安定的
発行体:近鉄グループホールディングス株式会社
長期発行体格付:BBB+ 見通し:安定的
発行体:阪急阪神ホールディングス株式会社
長期発行体格付:A + 見通し:ポジティブ
発行体:南海電気鉄道株式会社
長期発行体格付:A - 見通し:安定的
発行体:京阪ホールディングス株式会社
長期発行体格付:A 見通し:安定的
発行体:名古屋鉄道株式会社
長期発行体格付:A 見通し:安定的
■留意事項
本文書に記載された情報は、J C Rが、発行体および正確で信頼すべき情報源から入手したものです。ただし、当該情報には、人為的、機械的、また はその他の事由による誤りが存在する可能性があります。したがって、J C Rは、明示的であると黙示的であるとを問わず、当該情報の正確性、結果、 的確性、適時性、完全性、市場性、特定の目的への適合性について、一切表明保証するものではなく、また、J C Rは、当該情報の誤り、遺漏、また は当該情報を使用した結果について、一切責任を負いません。J C R は、いかなる状況においても、当該情報のあらゆる使用から生じうる、機会損失、 金銭的損失を含むあらゆる種類の、特別損害、間接損害、付随的損害、派生的損害について、契約責任、不法行為責任、無過失責任その他責任原因 のいかんを問わず、また、当該損害が予見可能であると予見不可能であるとを問わず、一切責任を負いません。また、J C Rの格付は意見の表明であ って、事実の表明ではなく、信用リスクの判断や個別の債券、コマーシャルペーパー等の購入、売却、保有の意思決定に関して何らの推奨をするも のでもありません。J C Rの格付は、情報の変更、情報の不足その他の事由により変更、中断、または撤回されることがあります。格付は原則として 発行体より手数料をいただいて行っております。J C Rの格付データを含め、本文書に係る一切の権利は、J C Rが保有しています。J C Rの格付データ を含め、本文書の一部または全部を問わず、J C R に無断で複製、翻案、改変等をすることは禁じられています。
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